断熱工法・断熱材の種類
断熱工法は、建物の構造に応じて使い分けることが基本です。木造には充填断熱工法、鉄骨造には外張り断熱工法、RC造には外断熱工法が適しています。
ウェルダンでは、それぞれの構造に最適な断熱工法と断熱材を選定し、長年培ってきた確かな技術で施工することで、高い断熱効果の住まいを実現しています。
建築予定地の環境や間取り、建主様のご要望を丁寧に把握した上で、最適な断熱計画を立てること。それこそが、ウェルダンの家が優れた断熱効果を発揮できる理由です。
まずは「断熱工法」の種類をチェック。
正しい知識を持ちましょう。
一般の方でも「外断熱」、「内断熱」といった言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。
しかし、このような用語について、一般の方のみならず専門家の中にも用語を誤って使用していることがあるようです。
日本建築学会の定義により、木造や鉄骨造の家に「外断熱」や「内断熱」という工法は存在しません。
これは単なる言葉の違いでなく、根本的に断熱工法の採用意義が異なるためにあえて区別されているのです。
また、断熱工法は構造によって使い分けることが基本です。
ウェルダンでは、木造には充填断熱工法、鉄骨造には外張り断熱工法、RC造には外断熱工法が適していると考えています。
充填断熱工法
主にグラスウールなど繊維系断熱材を用い、柱などの構造部材の間に断熱材を充填する工法です。
外張り断熱工法
ボード状のグラスウール、発泡プラスチック系断熱材を躯体の外側に貼り付けて断熱する工法です。
内断熱工法
内断熱とは、コンクリートの内側に、発泡系の断熱材をく吹きつけたり、貼りつける工法です。結露やカビが発生しやすい工法です。
外断熱工法
コンクリートの躯体を断熱材ですっぽりと覆う工法です。断熱性、機密性に非常に優れています。
木造建築の断熱工法 〜充填断熱工法が最適です〜
壁の内部の柱と柱の間に断熱材を充填する工法を充填断熱工法と呼びます。欧米では充填断熱工法が一般的です。
断熱性能に対して日本よりはるかに高いレベルを必要とする北欧などでも木造住宅については充填断熱工法を採用しています。
充填断熱工法の注意点としては、防湿施工に高い技術が必要であるということです。
特に繊維系断熱材を使用する場合には断熱材の内側に防湿層を設ける必要があり、これが不完全であれば壁内結露が発生する恐れがあります。
この点において、ウェルダンでは長期に渡り当社の高気密高断熱住宅に携わってきた職人が施工しますので、安心してお任せいただけます。
2×6工法の場合
2×6工法(ツーバイシックス工法)の場合、一般的に充填断熱工法となります。
これらの工法はもともと気密性能が高いため、気密性能を確保しやすいという外張り断熱工法のメリットが生かせません。
そこで2×6工法の場合は、構造で気密性能を確保し、断熱工法を充填断熱工法にすることによって高い断熱性能を確保します。
木造軸組工法(在来工法)の場合
木造軸組工法(在来工法)の場合も、きちんとした気密性能を保つ施工者の技術があれば、
外張り断熱よりも充填断熱工法の方が高い断熱性と耐震性とを両立させることができます。
充填断熱工法と外張り断熱工法
外張り断熱工法が躯体(柱)と外壁材との間に断熱材を入れるのに対し、充填断熱工法は、柱間に断熱材を入れます。
屋根は非常に温度差の激しい過酷な環境なので、断熱材が外壁の2倍以上必要。充填断熱工法ならば屋根材の固定強度が保持しやすく耐震面でも安心。
なぜウェルダンは「充塡断熱工法」なのか
外張り断熱工法の歴史
在来工法の住宅では、柱や梁などの構造材が場所ごとに寸法や形状にばらつきがあるため、気密性を高める施工が物理的に難しいという課題がありました。こうした欠点を克服する手法として、外張り断熱工法が適していたのです。
この工法の多くは、プラスチック系断熱材メーカーによって開発されました。彼らは自社製品の普及を目的に、断熱性と気密性を両立させる施工方法を考案し、提案してきました。こうして、発泡プラスチック系断熱材を用いた外張り断熱工法が次々に誕生し、広く普及していったのです。
20年ほど昔に建築業界でちょっとした外断熱(外張り断熱)ブームがおこり、ウェルダンも画期的な工法だとこれに飛びつきました。断熱施工をきちんとできる職人のいなかった当時、外張り断熱工法は大変メリットがありました。
デメリットに建築業界が気づく前であり、ウェルダンでも夢中で施工していました。職人技術が確立した今となっては、木造には充填断熱工法を推奨しております。
ウェルダンが「外張り断熱工法」を採用しない理由
1.外張り断熱工法は「熱橋」が生じないが…
「熱橋(ヒートブリッジ)」とは、断熱材の内と外を貫いて熱を伝達する部位のことで、構造体の外側から断熱材ですっぽりと覆うため、熱橋が生じません。
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熱橋が生じないという点は、構造が鉄骨やRCの場合には大変効果が大きいのですが、木材は熱伝導率が低いため、熱橋からの熱損失はそれほど大きくありません。つまり、木造に関しては大きなメリットとなりません。
フィンランドなど寒冷地におけるログハウスは丸太のみでつくられた家ですが、木材が断熱材の役割をするのでとても暖かいのです。
2.木造軸組(在来工法)では気密性能を上げやすいが…
施工が簡単で、断熱・気密の技術が特別に高くなくともある程度以上の性能は確保できます。
ツーバイシックス工法(2×6工法)に比べ気密性を確保しにくい木造軸組工法(在来工法)の場合にはメリットがあります。仮に外張り断熱(外断熱)工法と充填断熱(内断熱)工法とで、同じ性能の断熱材を同じ厚さ使用した場合は外張り断熱の方が断熱性能は高くなります。
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しかし、断熱性能が同等である断熱材を、3割以上厚く使用するのであれば充填断熱の方が断熱性能は高くなります。
例えば、充填断熱工法で高性能グラスウール(24K相当)を天井に280ミリ使用した場合に実現する断熱性能と同等の性能を外張り断熱工法で施工する場合、屋根面にポリスチレンなら215ミリ、ウレタンフォームでも150ミリの厚さが必要となります。
つまり、屋根の構造材(垂木)の上にその215ミリなり150ミリの断熱材を乗せ、さらにその上に屋根材をのせることとなってしまい、構造上不安定になることと、北側斜線や道路斜線のクリアが困難となるなど数多くのデメリットがあります。
3.断熱材の厚さを厚くすることができない!
外張り断熱工法にすると、重たい外装材を壁や柱を躯体に直接留め付けるのではなく、間に断熱材がはさまることになります。
外装材は長いボルトによって断熱材を通り越して構造体に達することになります。
結果的に長いボルトになればなるほど構造的に不安定となってしまうため断熱材を厚くすることができません。
さまざまな外張り断熱工法の中には、断熱材の内側にも通気層を設けるものがありますが、これでは無断熱無気密となってしまい、断熱材を使用する意味が全くありません。
夏でも涼しい地方ならともかく、毎日30℃を越える地方では冷房効率が悪くなってしまいます。
鉄骨造の断熱 〜外張り断熱工法が最適です〜
構造が鉄という熱伝導率の高い材料でつくる鉄骨造の建物は、断熱構造とするのは木造に対しかなり不利となります。
鉄骨造の場合には充填断熱工法(内断熱工法)は適さず、外張り断熱工法(外断熱工法)でなければ断熱することはできません。柱や梁が全て熱を伝える熱橋となってしまうからです。
さらに外張り断熱(外断熱)工法に加えて柱間にも断熱材を充填した付加断熱工法を採用し、不足する断熱性能を高めます。最上階は陸屋根(平らな屋根)形式とするよりも、三角形に屋根を造る形式のほうが夏の暑さ対策に有効です。
もし最上部を屋上として利用するため陸屋根とする場合は、屋根を2重構造としその間に通気層を取ることにより日射熱を防ぎ、快適性を向上させています。
鉄筋コンクリート造の断熱 〜外断熱工法が最適です〜
コンクリートは蓄熱容量が大きく、いったん熱を蓄えてしまうとなかなか冷めず、反対に冷たくなってしまうと暖めにくい性質を持っています。このため直接外気にさらされないように屋外側から外断熱工法によってすっぽりと覆ってしまうのが一番です。断熱材で覆ってしまえばコンクリートは室温の安定化に役にたってくれます。
日本ではマンションなどRC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物は、大半が内側から断熱材をとりつけた内断熱工法が採用されています。
内断熱工法とは外壁や屋根など躯体の内側に断熱材を取り付ける工法で、このため夏は熱せられたコンクリートに囲まれ、冬は冷えきったコンクリートに囲まれて暮らすことになります。コンクリート造のマンションなどで最上階の部屋が夜中まで暑く、西日の当たるマンションでは西側の部屋が暑いのはそのためです。内断熱工法は各階の床で外壁の断熱材が途切れ、その部分が熱橋となります。
外壁と天井が接する部分では結露が発生しやすく、断熱材とコンクリートの間でも内部結露が発生してしまいます。このようにコンクリート造の建物に対しての内断熱工法は問題が多いのですが、コンクリートの外壁に断熱材を外側から取り付け、さらにその外側に外装材を取りつけなければならないため、地震の多い日本では技術的に外断熱工法と耐震性との両立が難しく、またコストも上がってしまうのでまだ普及が進んでいません。
北欧など地震のない国では、コンクリート造の建物には外断熱工法が採用されていて、古い建物にも外壁に断熱材を補充し、その外側にレンガを積んでいる改修工事をよく見かけます。
施工精度こそ、断熱性能の分かれ道
高断熱住宅は、断熱の意味をしっかりと理解した職人が、どのように施工するかによって成否が分かれてきます。
理論上の数値では高い断熱性能を示していても、実際に現場で施工する職人が断熱施工に慣れていなければ絵に描いた餅、となりかねません。
だからこそ、ウェルダンでは主要な職人全てを固定し、共に家づくりを行っています。
断熱材の種類
表中の(1)熱伝導率は熱の伝わりやすさを示す数値で、数値が小さいほど断熱性が高い材料だといえます。 表中の(2)は、グラスウール(24K)と各材料とを比較した表です。

ALCパネルはグラスウールの約1/5の性能で、グラスウール100ミリと同じ性能を維持するためには厚さが455ミリ必要です。
ロックウール、ポリスチレンフォーム、セルローズファイバーはグラスウールと概ね同じ性能。
硬質ウレタンフォームは性能で1.6~1.7倍、厚さ60ミリ程度でグラスウール100ミリと同等の性能。
木材はALCパネルより1.5倍断熱性が高く、アルミに比べ1750倍高いというのも理解できます。
主な断熱材の特長
ALCパネル
「断熱材」としては不十分な性能ですが、耐火性・耐久性など「外壁材」としては非常に優秀で、
他の断熱材と組み合わせればおおいに利用価値があります。
グラスウール
「グラスウールを使用すると壁内結露を起こす」という誤解をよく耳にしますが、そもそも壁内結露を起こすような施工そのものが問題であり、そうした家にはどの断熱材を使用しても結果は同じです。
「従来の結露する家に入っている断熱材=グラスウール」のため、「グラスウール=壁内結露する」という図式が出来上がったものと思われます。
白蟻の食害がない、無機質であるため劣化しない、燃えないし有毒ガスの発生もない、吸音性がある、とメリットが多く、また何より安価で済むので建主にとって大きな魅力があります。
硬質ウレタンフォーム
断熱性能が非常に高く、同じ性能なら他の断熱材よりも薄くて済みます。
但し経年変化や劣化により断熱性能が若干落ちていきます。また火災時に燃焼し、シアン化ガスの発生がみられます。
ポリスチレンフォーム
断熱性能はグラスウール16Kと同レベルです。燃焼時に融解はしますが、シアン化ガスの発生はありません。
ウェルダンの断熱工法の変遷
30年ほど前に木造住宅に外張り断熱工法を採用していたけど…
約30年前の日本では、住宅の気密性・断熱性を十分に確保できる職人がまだ多くありませんでした。そのため当時は、断熱材で躯体を外側からすっぽり覆う「外張り断熱」によって、施工技術の不足を補うことが一般的でした。外壁には50ミリのウレタンフォームを使用しており、この程度の厚みであれば耐震性への大きな影響もないと考えていました。
しかしその後、外壁50ミリ・屋根90ミリのウレタンフォームでは断熱性能に物足りなさを感じるようになり、さらなる性能向上を目指す動きが強まりました。同時に、高気密高断熱住宅に特化して建築を進めたことで、職人たちの気密・断熱施工技術も着実に育ち、一定の品質を確保できるようになりました。
その訳10年後には、多くの住宅会社がこぞって外張り断熱を採用し、競うように外張り断熱工法の住宅を建築する時代になりました。しかし数年後、他社の物件で外装材やそれを固定するボルトが徐々にしなり、最終的に下方向へ垂れてしまった例が報告されました。この事例を耳にしたことをきっかけに、外装材の取り付け方法そのものに不安を感じるようになりました。
その後、充填断熱工法に転向
その後さらに断熱性を高めるため、高性能の断熱材の採用と、厚みを大幅に増やす必要性がでてきました。
しかしながら外張り断熱工法を採用したまま耐震性を犠牲にすることなくこれ以上断熱性を上げることができなくなったのです。在来工法で外張り断熱工法を採用するメリットの1つに気密性能を確保しやすいという点があったのですが、ツーバイシックス工法を採用することにより気密性を高め、断熱性も充填断熱工法へと戻すことにより厚みを確保することになったのです。
「断熱工法」に絶対的なものはありません
断熱工法、特に木造住宅において、充填断熱(内断熱)か外張り断熱(外断熱)か、といった論争を専門家だけではなく一般消費者までが評論家のように行なっている今日。断熱を施す目的は、住宅の快適性と耐震性(耐久性)などのバランスという「結果」を得ることです。その「結果」を得るためにはさまざまなアプローチ(過程)があるのは当然のことであると思います。
また木造なのか鉄骨造、RC造なのか、また木造でもツーバイシックス工法か軸組み(在来)工法かによっても断熱工法や断熱材も変わりますし、間取りや使用部位によっても選択の範囲も異なります。「百聞は一見にしかず」ということもあります。
ぜひ、当社モデルハウスに足をお運びいただき、私たちの選択の「結果」を確かめていただければ幸いです。
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