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Vol.5 建主とは何か(前編)

建主とは建築工事における注文者のことです。建築工事請負約款には、注文者と請負者は互いに協力して契約の目的物を完成させると記されています。だが多くの建主は、家づくりを一生に一度の大きな買い物だと考えます。だから、自分はお客様だと思い込んでいるのです。そのような建主は無理な要望や設計変更をして建築業者を困らせます。建築工事における建主の立場は単なるお客様ではなく建築工事の発注者であり、建築工事の責任者です。

家づくりを成功させるには建主と建築業者の信頼関係が何よりも大切です。信頼関係とは一方的に生まれるものではなく、建主と建築業者がお互いに自分の役割を果たすことによって生まれます。もしも建主が自分の役割を忘れて相手の役割に口を挟めば信頼関係は崩れ、ときにはトラブルに発展します。はじめて家づくりをする建主でも、建主としての自覚を持ち、自分の役割をきちんと果たせば家づくりは必ず成功します。

家づくりをする建主がもっとも犯しやすい間違いは建築の専門的知識を勉強することです。建築工法や断熱工法を比較し、評論家のような態度で建築業者の品定めをします。中には他のモデルハウスで聞いた話を自慢げに話す建主もいます。建築の専門的知識を勉強するのは建築業者の役割です。素人の建主が中途半端な知識を集めたところで実際に役立つことはありません。もしも建主が建築業者に断熱気密工法を指定し、または施工方法を指図した場合には、家が快適にならなくても建築業者の責任とはならないのです。

国立市のA様は自宅を建てるのに、当社の建築現場を度々訪れて地熱基礎に興味を持ちました。A様は知り合いの建築業者に指図して、布基礎の外周面に断熱材を外張りしました。しかし、施工業者は布基礎に床下換気口を取り付けてしまったため、床下は全くの無断熱になりました。A様は基礎断熱の意味を理解しないままに基礎断熱工法の真似をしたのです。

浜松市のB様は地元の建築業者に自宅の建築工事を請け負わせました。B様は私の本を建築業者に見せて地熱基礎で基礎工事を行うように指図しましたが、建築業者は不慣れな地熱基礎を採用せず、「べた基礎」と呼ばれる基礎工法で工事を行いました。そのことに気づいたB様は工事を中断して私に電話で相談をしましたが、私にはどうすることもできません。B様が電話を終えて建築現場に戻ると施工業者は工事を中止して引き上げてしまいました。B様は再び電話で相談をしてきましたが、その後どうなったのかは知る由もありません。

神戸市では私の本を読んだ建主が、居住性の不満から家を設計した一級建築士を相手に裁判を起こしました。1億円の予算で建てた家が快適にならなかったからです。裁判官も弁護士も建主の不満が何なのかを理解できなかったので、双方が私の著書を読むことになりました。

このようなトラブルは決して珍しいことではありません。不慣れな施工業者に建主が施工方法を指図するからトラブルが発生するのです。それは患者が医者に治療方法の指図をするようなものなのです。 家が完成してから改めて私の本を読み返した建主が、九州からわざわざ電話をくれたことがあります。家を建てる前にも読んだけど、家が完成してしてから読んでみて本の意味がよく理解できたのだそうです。この建主は、家が完成したときに、自分が素人であったことに気づいたのです。(第6回に続く)

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